自分に嘘をつかない


 
ヨガ八支則のヤマ(してはいけない規則)の一つには、「サッティア(嘘をついてはいけない)」というルールがあります。

 

嘘をつくのは、人に対してだけではありません。
私たちは自分自身にも嘘をつきます。

 

例えば私が、ヨガの道に入って教える立場になり、まだまだ弱点はあるし、できないことも多いと自分でわかっているのに、「私は立派な先生です」と嘘をついたとします。
この場合、人に嘘をつく前に、自分にも嘘をついているのです。
だって、私自身は「立派な先生ではない」とわかっているのですから。

 

そうやって嘘をついているうちに、自分は立派な先生ではない、という現実を見なくなります。嘘をつき続けているうちに、現実をしっかり受け止めることができなくなるのです。

 

「私はこうなる」「ああいう人になりたい」と夢や希望を口にするのはいいのです。それは「目標」や「期待」ですから。

 

「ほんとうは違うのに」と思いながら、嘘を口にすれば、胸の中にモヤモヤしたものが残りますよね?
自分に嘘をついて――悲しいことがあったとき、悲しみを忘れようとしたり、気分を上げようとしたりして、「楽しい」「幸せ」と自分に言い聞かせることはありませんか?

 

本当は今、悲しいけど、ポジティブな言葉を言うことによって、楽しくなってくることはあります。
でも、それは悲しみの原因から目を背けたことになります。
悲しみに向き合ったり、原因を考えたりせずに「楽しい」「悲しくない」と嘘をついてしまうと、同じような状況になったときにまた悲しくなってしまうのです。
目を背けずに原因を考えていくと、その悲しみは大したことではないと思えたかもしれないのに――。

 
 

自分に嘘をつくことは、本当の自分を見ずにフタをしてしまうことです。
そのときはフタをして見えなくしたけれど、見えないだけなのです。
その結果、自分の中に「本当の自分」「見ようとしなかった現実」が放置され、溜まっていってしまいます。

 
 

「嘘をつかない」――今の自分が感じている事を、そのまま、そう感じている自分を認めていいのです。

 
 

悲しみだけではなく、幸せを考えるときも同じです。
「人よりもたくさん物を持っているから幸せ」「人よりも立派なものを持っているから幸せ」と考える人は多いですよね。
いい車を持っている、ステキな家を持っている、すごく立派な仕事をしている――それが幸せだと思うから、私たちはそうなるために努力して、いろんなものを増やしていきます。
現状を見ず、自分の本当の幸せを考えず、「私はこんなに持っているから幸せ」と自分に嘘をついてしまうのです。

 

幸せであり続けるためには、「もっと上のものを、もっとたくさんのものを持たなければ……!」と考えてしまう。すると、ずっと増やし続けていくことになります。
必死で努力し続けるのですから、疲れてしまうのは当然ですよね。

 

サッティアの「嘘をつかない」ということは、「あなた自身にしっかりと向き合うこと」でもあります。

 

あなたはいま、幸せですか?

 
 

yogi vini